Medical7106’s diary

医療 国家試験対策

意外と知らないリンパの役割

 

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まずは、リンパ管の役割と走行を確認しよう。


 人のからだには、体重の約60%に相当する量の水分が含まれているが、そのうちの約60%は細胞内にあり、約8%が血管内の血液である。残りの約32%の大半は細胞間にあり、間質液あるいは組織とよばれている。間質液には、動脈側の毛細血管から水や電解質などが流入し、静脈側の毛細血管から再び血管内に吸収され、血液との間で循環している。しかし、この毛細血管への吸収は十分ではなく、残りはもう1つの脈管系であるリンパ管によって回収されている。リンパ管は毛細リンパ管で始まる。毛細リンパ管の壁は薄く肩平な細胞が並んだ単層扁平上皮の内皮でできている。この細胞間の接着は弱く、間質液が流入しやすい。リンパ管内に取り込まれた間質液がリンパであり、血嫌成分やリンパ球などが含まれる。毛細リンパ管が合流して、内部に弁がある太いリンパ管となる。リンパ管はリンパ節を通過する。

 リンパ節とはリンパ小節(リンパ球の集合)が集まっ
たもので、そら豆のような形をしている。多くのリンパ管がつながって、リンパが流入してくる。リンパ節にはフィルターのはたらきがあり、リンパから異物や細菌、腫傷細胞などが濃過される。取り除かれた異物は、大食細胞が取り込んで処理する。異物を渡し取られたリンパは、 そら豆の凹みのところにつながったリンパ管に流れ出し、再び体を巡る。
リンパ管はいくつものリンパ節を通過しながら太くなり、リンパ本幹となる。腹部内臓を含む下半身のリンパが集まった腸リンパ本幹1本と腰リンパ本幹1対は、第2腰椎の前面で合流して胸管をつくる。この合流部は膨れており、乳藤槽とよばれる。胸管は上に向かい、横隔膜の大動脈裂孔を通って胸腔に入り、そこで、 左上半身のリンパを集めてき左顎リンパ本幹と鎖骨下リンパ本幹が合流して、左の鎖骨下静脈と内顎静脈の合流部である静脈角に開口し、リンパを静脈内に注いでいる。 また、 右上半身のリンパは右リンパ本幹に集まり、 右の静脈角に開いている。

 

結局リンパの重要性とは??

 リンパ系は循環系のなかでもあまり注目されない部分であるが、血管から漏出した水分を間質液から回収して血管内に戻すのに重要なはたらきをしている。たとえば、手術などによってリンパ管が破壊され、リンパの流れが悪くなると、結合組織内に間質液がたまり、いわゆる浮腫(むくみ)を生じてしまう。これが長期間続くとその影響で結合組織が増加してかたくなり、その部位に何らかの障害がおきてくる。
 また、毛細リンパ管は毛細血管に比べて、内皮細胞どうしの接着が弱く、間質液が流入しやすくなっている。そのため、局所で細菌感染が起こって細菌が増加したり、悪性腫島ができた場合に、細菌や腫島細胞がリンパ管内に入りやすい。それらがリンパ節に運ばれるため、リンパ節が腫れたり、リンパ節内で腫蕩細胞が増殖して転移巣をつくったりする恐れがある。